2015年9月16日水曜日

Windows10無償アップグレード版を2週間使ってみての率直な感想

マイクロソフトさんには散々お世話になっておりますし、個人的にもロハで新OSを8.1と10の2つも頂戴しておいてこんなことを言うのは誠に心苦しいのですが、現時点における率直な感想を申し上げたいと思います。

前提として、電話、タブレット、ノート、デスクトップすべてをターゲットとしているWindows10なのですから、まず、どういうことにWindows10を利用しているかという点を明らかにしないといけません。

私はタワー型PCで96dpiのモニタを利用し、PCにはHDDをはじめとしたデバイスを割合頻繁に付けたり外したりします。
そのPCにインストールされたWindows10の用途はゲーム、ブラウザを使ってのwebアプリの利用、Windows,*nix,Androidなどを対象としたプログラム作成のための各種環境の操作、書類作成、オンライン決済、PT3で録画したタモリ倶楽部の鑑賞です。

そのため、ゲームとWindows用しかデバイスドライバが用意されていない機器の使用(今つながっている機器だけ列挙しても、ラベルやディスクプリンタとかスキャナとかカードリーダとかゲームコントローラとかwebカメラとかBluetoothアダプタとかRS232C変換器とか、こうしてみると本当に多いです)と書類作成と過去のドキュメントや客先からいただくドキュメントの参照のためのMS Office、Visual Studio、Spinel、TvRockといったWindows版しかないアプリケーションの利用がWindowsでなければ「ならない」理由です。

MUSTではないにしても、Windowsで「あってほしい」理由となると山ほどあります。
代替品はあったとしても、エディタをはじめとした「使い慣れたツール群」がWindows版しかなかったり、各種OS用にあったとしても一番出来のいいのがWindows版であったり、MS-DOSのころからお世話になっているため何か不具合が起きた場合に原因を探る勘所がある程度掴めていたり(ここまではWindowsであるかどうかではなくて「使い慣れたOSであってほしい」と言い換えることもできますが)、掴めなくてもユーザ数の多さからくる情報発信量の多さで問題の解決が容易であったり、最新の機器のドライバが真っ先に用意されるのがWindowsであったり、クライアント向けOSであるにもかかわらず長期間のサポートを実現し続けており、さらに、後方互換性に対して尋常ならざる努力を重ねている点への信頼感であったり。
枚挙に暇がないといっていいのではないかと思います。

ここまで言っておいてなんですが、前述の環境で利用している私には無償アップグレード版Windows10にアップグレード「すべき」メリットを、一つを除いて見つけることができませんでした。

その一つのメリットとは、デバイスが壊れない限り、サポート期間がさらに延長されることです。
デバイス(とマイクロソフトさんが見なすPCの一部のパーツ)が壊れてしまえばライセンス切れになるわけですから、サポートが切れるより早くデバイスが壊れる確率のほうが高いわけです。しかしながら、それだけ長い期間のサポート期間を、パーツが壊れない限りは設けているわけですから、やはりこれは相当なメリットと見なしていいと思います。

デバイスを交換するとライセンスが失効してしまいます。

但し、やむを得ない故障によるパーツ交換であればライセンスを再発行してもらえるケースがありうるようです{Microsoftフォーラムでマイクロソフトの Answer Deskに問い合わせた方のご報告がこちらにあります。セットアップ窓口(平日午前9時~午後6時、土日午前10時~午後5時) 0120-54-2244に電話し、自動音声ガイド1->3->1->2 だそうです。ただし、私は検証していませんし、真偽を確認する権能を有してもいませんし、このフォーラムそのものが権威あるものではないことは申し添えておきます}。
勿論、HDDを大容量のものに換装したとかVGAをいいものに変えたといったケースではダメだということは明らかにされていますし、「やむを得ないケース」の判断はあくまでマイクロソフト側にあるため、明白な基準が示されるわけでもなく、どうしてもオペレータの判断によってケースバイケースになってしまうようです。
とはいえ、これは無償アップグレード版ではなくリテール版を購入すればいいことなので、ここでは措きたいと思います。
ケチるなら来夏まではWindows8.1から再度アップグレードをしてWindows10にするという選択肢も依然残されています。

従来通り動くソフトは山ほどありますが、動かないソフトも結構できました。
後方互換性を重視しているとはいえ、さすがにダメなものはダメです。
Windows8の時もそうでした(MSVisualStudio2005は管理者権限で動かせば何とかなりましたが、SimCitySocietiesは即死でした)が、加えて今回のWindows10はSafeDiscとかSecuROM採用のゲームが動きません。そのため、お気に入りのMSFS、光栄の三国志とか信長の野望、Simsなどが軒並みこの手のDRMを採用していたため全滅です(MSFSが特にイタイ。Steam版FSXがあるからって言っても・・・)。今となってはさすがにめったにやらないにしても、たまにやると面白いのでボチボチやっていました。結構高額なので「動かさない」と「動かせない」ではやっぱり違いにヘコみます。
さすがにSteamやOriginなどオンライン認証なゲームは全部OKでした(信長の野望・創造PKってSteamなんですよ。ご存知でしたか?価格は相変わらずKOEIプライスでしたけど)
まあ、Windowsに限らず、メジャー番号が上がるということはこういうリスクはあるわけですし、OSどころではなく電子入札とか応札先の省庁ごとに必要なJavaランタイム(これも仮想マシンですから見方によってはOS以上なんですけどね)のバージョンが異なるなんて笑うに笑えない実例もこの国にはありますので、この辺りはやむを得ないところはあるわけですが、メリットではなく紛れもないデメリットではあります。

巷で言われているところの使い勝手が変わるとか見た目の統一性がないとか同じ設定項目でもあちこちで設定できてしまうとか、Windows8に輪をかけたUIの統一性のなさは目を見張るものがありますが、これはまあデスクトップPCからタブレットへとメインストリームが移り変わる(とMSは思っていると勝手に私が思っていますし、半ば同意するところではありますが)変わり目の半端なOSである上、先ほども申しましたが電話からタブレットからノートからデスクトップまで、ありとあらゆるデバイスを巻き取るべく設計された野心的(野心的ではあるが現段階ではどっちつかずの日和見UI)なOSであると私は思っているので、言い出すとキリがないのでこれも脇に措きましょう。これこそ枝葉末節過ぎて語るに足りません。

ソフトウェアと同様、ハードウェア面でも使えない(今回はBluetoothアダプタでした)、あるいは接続しているとスリープに入らないデバイスが出てしまいました。
いずれもWindows8.1では問題なく使えていたのですが、これもまあ、新デバイスがある一方、古いデバイスは切り捨てられていくのはある程度は仕方がないのですが、やはりメリットではなくデメリットと言わざるを得ません。

では、新機能はどうか。

Windows10の目玉中の目玉、CortanaとEdgeはどちらも未完成です。
おまけに、Edgeの完成の暁にはブラウザの選択肢が広がるから歓迎できるとしても(MSさんはIEを捨てなくてなくてもいいんじゃないかなあ?と個人的には思いますが)、Cortanaに至っては・・・デスクトップ中心で利用しているユーザというより、WindowsPhoneのユーザ以外にどうせえっちゅうんじゃ、というのが率直なところです。
SiriをMacOSでどうしても使いたいユーザっていますかね。そりゃ一定数いるでしょうが、なんでまだ実装されてないんでしょうね?(私個人の見解としては、iOSが使われるシーンよりMacOSを必要としている人の利用シーンではiOSに求めるよりも遥かに複雑な使われ方をしていて、Appleのお仕着せのサービスだけでしか完結できないSiriでは現状のままでは手に負えないからではないかな、と思っています)

デスクにどっしりと構えて24インチモニタに向かって(正確にはマイクに向かって)「おーけー!!ぐーぐる!!!」「コンピュータ、私のスケジュールは今日はどうなのおーー??」なんて叫ぶのってUSS1701乗組員(マイクに向かって「アールグレイ。ホット。」というだけで配送を手配されたらもっと困るんですけどね)か ヒーローものの主人公ぐらいじゃないっすかね。手や目が不自由な人が使うなら話は変わりますが、明らかにそのためだけの機能じゃないですからね。

もし私がSiriやGoogle Nowの中の人だったら、そういう人にこういうでしょう。
「目の前にあるアイコンをダブルクリックしろ」

スマホとかタブレットだとちょっとした入力でも苦痛ですが、PCだと山ほどボタンがくっついてるキーボードとマウスがあるんですよね。そのため、そっちのほうが圧倒的に早いんです。前提条件としてお示しした通りの前提で話していますから電話やタブレットなら便利だよと言われても困るんですが、PCでは超目玉であるはずのCortanaやEdgeはどっちもモノになっておらず、現時点では話にもならないと言わざるを得ません。
もっとも、今後どうなるか、は、見ものです。
AppleもGoogleも、デスクトップ分野でのこの手のサービスは成功しているとは到底いいがたいところです。

最後発のマイクロソフトがどういうアプローチを行い、また、存在感を示せるかは、本当に未知数です。こればかりは未来のことですので何とも言いかねますが、現状では価値がないと断ぜざるを得ません。

しかし、3社のうち2社はデスクトップPCを見放し、携帯端末(スマホやタブレット)に特化したサービスを打ち出し、好評を得ています。
方や、マイクロソフトはノキアを買収したとはいえ、先行二社に大きく水をあけられていることは隠れようもない事実と指摘せざるを得ません(マウスやトラックボール、キーボードなどのデバイスではハードウェアメーカとしても信頼も実績もあるメーカである側面はあるのですが・・・新デバイスではSurfaceは一部界隈で大好評ですが、過去のRT版の存在のおかげで混迷感が出てしまっているのは否めない事実ではないでしょうか)が、後発であるからこそ見えてくるものがあるでしょうし、後発であるからこそ自由に動けるという利点があることも確かです。
デスクトップ分野やサーバ分野で巨大な市場を形成してきたMSがどのようなアプローチをとるのか、彼ら自身もおそらくせいぜい「臨機応変に」といったところではないかな、と拝察しますが、過去の例からするとある意味「挑戦者」の立場になった時のMSは面白いことをしてくれてきていますから、今回も期待するや切ではあります。

が、わたくしが提示した前提において今回の表題の結論を申し述べますと、上記の通り「現時点では価値が認められない」という一点に尽きます。

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  @date 2015/9/16
  @auther ayumi
  @comment
 Windows の携帯端末には、それはそれはお世話になりました。利用者ではなく、開発者としての視点です。古い話になります。
 今は亡きWindowsCEは、それはそれは素晴らしいものでした。なにしろWindows上での開発経験さえあれば(さすがにVBじゃだめですが)携帯端末なのにGUI作成も容易、さらにはTCP/IP経由で違和感なくC/Sシステムを簡易に構築できるほど洗練されていたのです。
 モバイルなくせに一般の人が容易{比喩でなく、実際に作成した例でいえば、コンピュータに縁もゆかりもない(インターネットが一般に普及する以前のことです)農家の人が農閑期に臨時で農協の選別場に来て直ちに業務を開始できる程度の容易さ}に扱えるようなGUIを表現できる上に、Win32APIをほぼそのまま使用してプログラムが書けるので、お客様にも喜ばれ、VC++での開発経験さえあればいいので、開発要員の確保も容易で工数も削減できるという夢のような時期がWindowsのおかげで確実に存在しました。
 現代ではAndroid搭載の格安端末に自称Javaプログラマを雇って似たようなこと以上のことをできますが(どこでメモリが確保されて解放されるか理解しようともしないし理解できないアホどもが多いのはなぜでしょうね?)、当時の組み込み機器において多数あるライバルを蹴散らして、破格な敷居の低さを実現したのはマイクロソフトとパートナーのデバイスメーカでした(今でもATMやらレジがWindowsでびっくりした、なんて話がよく聞かれるのは偶然ではなくそれだけの実績があるからです。もちろんCEでもなく一般で使っているWindowsでもなくて組み込み用に特化されています)。
 デスクトップで使う前提でまるで本文では腐したような書き方になってしまいましたが、今後もぜひ、マイクロソフトさんに、あのようなブレイクスルーを期待するや切であるゆえに、あえてこのような書き方になってしまったことをお許しください。
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